ミニチュアオーダーメード制作事例 「お父様の道具箱・昔ながらの自転車屋さん」

ホームページよりご依頼頂いた作品です。

お父様が長年営んでこられた自転車屋さんを閉店することになり、建物もマンションに
建て替えられるので、ミニチュアでその姿を残してあげたいというお話。

こういうご両親のためにプレゼントして差し上げたいというご相談はとても多い。
子供さんにしてみれば、自分達を育て上げるために汗水流して働く親の背中をずっと
見てきたわけです。
自身の子供時代の思い出と共にあるものだから、なくなってしまう寂しさは
ご両親と同じくらい、いやもしかしたら、それ以上のものがあるかも。
それを思うと、私も胸がきゅんとなります。

今回はご予算的にお店全体を作品にすることはかなり厳しい。
けれど、なんとかお父様の働く姿をとどめておける様なデザインのご提案をしたい。

送って頂いた写真たちとにらめっこ。

写真の中で、特に引き付けられたのは「お父様の道具箱」

写真を見ているだけでも伝わってくる、使い込まれた、歴史さえ感じる存在感のある道具箱。
ご依頼主から伺った、量販店では、ほとんど行われることのない、トンカチで自転車のゆがみやへこみを丁寧に叩いて直す職人仕事のエピソード。
真剣な、そのまなざしまでも想像できる。

「お父様の道具箱」

これを中心にすえよう。

ご提案したところ、もう一つご希望があった。

お店の看板もなんとか残したい。

そりゃそうですよね。
いつも当たり前にあった、屋号も入った大切な看板。
やりましょう。

私は作品の構想を練る際、物語がないとイメージがまとまらないのです。

そこに暮らす人。
そこで繰り広げられる日常。

その物語のヒントを得るために、ご依頼主には可能な限り多くのエピソードを箇条書きでいいから書き出してくださいと
お願いしています。そのすべてを作品に作りこむことは無理だけれど、大切な思い出のエピソードを
何も知らないままでは、物語は描けない。
私なりの物語を描くことで、ご依頼主の心の奥底に眠る思い出をよみがえらせる力が作品に宿る。
そんな気がするのです。

ご依頼主に、お店の看板と道具箱をメインにしたデザインのラフ画をお見せして、了解を頂き制作に取り掛かることに
なりました。

制作過程は次回、お伝えしたいと思います。

さて、皆さんにはどんな物語がありますか?
大切な思い出のストーリーをミニチュアドールハウスで残してみたい。
そう思われた方は、まずホームページで詳細をご覧ください。

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