NHK「所さん!大変ですよ」(7/15放送)、銭湯のミニチュア制作エピソード (その3)

60年以上の歴史と思い出が詰まったお風呂屋さんのミニチュア。

無事完成し納品しました。

私自身が銭湯のお客様になったつもりで、いろいろ空想しながら夢中で制作していたものですから、納品の時は寂しかったですねー。

「ああ、もうこのお風呂屋さんで私が楽しむことはできないんだ。

よく作品が売れると「お嫁に行く」という表現をされる作家さんがいますが、私のはちょっと違う。

私自身がその世界の登場人物として、楽しく過ごしているかの様に浸りきって制作しているので、大事な居場所を取り上げられる気分。

取り上げられるという表現は誤解を生むかもしれませんが、それくらい作品世界に没頭して制作しているので、急に現実に引き戻されるような感覚になってただただ寂しいのです

心の中で「バイバイ」と呟きながらお引き渡ししました。

さて、その数日後です、ご依頼主から動画が届いたのは。

お風呂屋さんのミニチュアをお母様にサプライズでプレゼントした時の様子を撮影して送って下さったのです。

それが、「所さん!大変ですよ」の番組の中でも流れました。なので、あのシーンは演出でも再現ドラマでもない本物なのです。

動画を拝見した時は、私も胸がいっぱいになりました。

ご依頼品をお引き渡しした時の寂しさが吹っ飛びますね。

ああ、こんなに喜んで下さるのだから、きっと永く手元で大切にしてもらえるね、良かったね、と自分の作品を本当の意味でお引き渡しできる瞬間というのかなぁ

「所さん!大変ですよ」の放映を見た時は、少し不思議な気分でした。

もう自分のものではなくなった作品と、TVを通して再会している

あれって確か私が作った作品なんだよね?

って、ちょっと他人ごとみたいな(笑)

ま、取材から日にちが経ってもいるので、そのせいもありますけど、気持ちの上でも完全に手放した作品なので、遠い日のことみたいで。

同時に客観的に自分のお仕事を見つめ直す良い機会でもありました

TV画面の向こう側で、好きで始めた仕事をこんなに喜んで下さる方がいる、評価して下さる方がいる。

それに対する責任の大きさも感じますけど、それ以上に、好きな仕事で人様に喜んで頂ける幸運への感謝が込み上げてきました。

ミニチュアドールハウスが好きで良かった!

仕事にして良かった!

そして、思い出を残すミニチュアドールハウスというテーマに辿り着けて良かった!

大切な思い出を残す方法の一つにミニチュアドールハウスがあることを知らない方が、まだまだたくさんいらっしゃいます。

今回のテレビ番組出演が、思い出を残すミニチュアドールハウスの情報を多くの方に届くきっかけになることを心より祈っています。

今回のお風呂屋さんのお仕事は、TV出演を抜きにしても、きっと一生忘れられないものの一つとなるでしょう。

ありがとうございました!

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