NHK「所さん!大変ですよ」(7/15放送)、銭湯のミニチュア制作エピソード (その2)

今回のご依頼品の「お風呂屋さん」 ご依頼主様とはzoomを利用して打合せを行いました。

時代ですよねー。 数年前まで、遠方のご依頼主様の場合、一度もお顔を合わせる事なく納品に至ることが多かったですから。 お顔を合わせてお話すると、表情や言葉のニュアンスでお気持ちがとてもよく伝わってきます。 まるで、自分自身が、両親の浴室を掃除する背中を眺めているかとような感覚さえわいてきます。

作品内に置く小物類のお話では、一つ一つに思いやエピソードがあって、60年以上地元の方に愛されてきたという、その時間の流れを感じます。

どれほどの物語があったことでしょう。 仕事である以上、お預かりした予算の中で制作するものは絞り込まなくてはならず、辛いところではあります。 でも、だからこそ制作が決まった物は大切に丁寧に作り込まなくてはいけません。

例えば、お湯をかき混ぜるために使っていたという木製の板。 写真で見る板は長い間使い込んできたことがよくわかります。 なので、材料の工作材を削ったり磨いたりを繰り返す時、実際に使われていた時の様子を思い描きながら作業します。 あの色合い、すり減り具合をどうすれば再現できるか? どんな風に使うと写真のような姿に変わっていくのだろう? いろいろ考えながら作業するのって、まるでタイムマシンで時間を遡るみたい。

洗面器も楽しかった! 昔の銭湯にこの「ケロリン」のロゴの入った黄色の洗面器が多かったのって何故なんでしょ? 私が子供の頃行ったことのある洗面器もこれでした。 だから絶対再現したかった! 洗面器は樹脂で制作したので、直接印刷はできません。ですので、極細の筆で手描きしました。 出来上がった時はテンション上がったなぁ(笑) 昭和レトロなものって、どうしてこうも可愛らしいのでしょうね。水道の蛇口もシャワーヘッドも、今のものとは全然違う。どこか素朴で愛嬌を感じます。

全国には銭湯愛好家のコミュニティがいくつもあるらしいですが、納得です。 だって、古い銭湯には愛らしくて希少な設備や小物類がいっぱい残ってますから。

こういう味わい深いものが消えていくって、本当に悲しいですね。残念でなりません。

ご依頼主様のお母様のお気持ちはどれほどのものか。 お仕事を頂けるのは嬉しいけれど、同時に、チクチクと胸の痛むものでもありました。

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